豊中にこの企業あり!
活躍する会員企業の概要・事業展開などを中心にご紹介します。
第77回 株式会社 山福
▲「企業の社会貢献」と「仕事を通じた社員の自己実現」を強く意識して経営されているのが印象的な山本社長
株式会社 山福
代表取締役社長 山本 榮
(当所常議員・商業部会副部会長)
事業内容:業務用食品の企画・開発・販売
所在地:豊中市服部寿町4-10-5
TEL:06-6867-2111
 

●「味百華」食材の卸
 江戸時代、長崎奉行のからすみ「肥前のからすみ」、尾張公のこのわた「知多のこのわた」、越前公のうに「越前のうに」は天下の三珍と称され、徳川将軍家に献上されていた。この三品は材料の入手が困難であったのと大量製造がしにくかったため大変価値が高く、現在も珍味の代表として挙げられている。
 このような珍味のほか“食”の中でも私たちが日常生活の中でスーパーなどではあまり手にしない特殊食品が(株)山福の手掛ける事業領域となっている。主に日本料理の食材を取り扱い、沖縄から北海道まで各地の食品会社を通じて外食産業に卸している。毎月各地の取引先や生産地に訪問することから短期間で情報や製品を取引先や業務筋に周知することができ、多種の食材を原則当日受注品は翌日には全国に届けることができるのが強みだ。「味百華」ブランドで展開する食材の取扱品目は在庫ベースで七千から八千アイテムにのぼる多さである。

●日本食を探求
 「おせち」は「御節供」が略されたもので、正月や五節供などの節日に神に供える食べ物のことをいうが、現在では正月料理だけに呼称が残る。山福の人気商品にはそんなお節料理に使用される食材にも多い。数の子、黒豆、昆布巻き、田作り、お煮しめ、えび、栗きんとん、だてまき、紅白かまぼこ、金柑の甘煮、紅白なます、鯛、などなど。当社の食材が支持される背景には、山福が伝統的な日本の食材を深く再認識し、珍しいもの、希少なもの、手間と時間をかけて創る一品を求め続けることに注力してきたから。
 『「おせち」は伝統料理と見られがちだが、栄養や味覚のバランスが取れ、食材には日本の美が現れている。また素材には一つ一ついわれがあり、縁起のよい食材が使われている。最近は世界で健康志向が高まっていますが、長寿国・日本の秘訣は多くの食材を工夫して食してきた日本の食にあると確信しています。』と山本社長。国内のみならず海外にも、安全、安心を前提として優れた新たな味覚の開発に注目していく考えだ。

▲受注の電話や商品発送で非常に忙しい本社内

●曽根崎から豊中・全国へ
 全国に食材を卸している山福では関東から沖縄までを豊中の本社で、東北から北海道までを仙台の東北支店で管轄し受注日の翌日配送を可能にしている。また2拠点の他に大阪市北区に小売部門の曽根崎店を持つ。曽根崎は先代社長で父の故・山本福男氏が昭和21年に当社を創業した地であり、周辺には当時から続く取引先も多いことから山本社長が大切にしている場所。「食品業の業務内容は決して楽ではないが、私共はそんな中でも仕事を通じて取引先各位に役立ち、向上していく人を多く輩出することが出来ればと願っています」と山本社長。商品開発では全国各地の新たな良品を発掘し提案していくとともに、時には海外の原産地や協力工場を訪問し開発・調査・視察にも力を入れている。「本業深耕」「新事業チャレンジ」を掲げる当社の事業展開が楽しみである。


この記事は「とよなかCHAMBER」2008年12月号に掲載されたものです。